総合物流国内最大手で、災害対策基本法における指定公共機関でもある、東証一部上場企業、日本通運株式会社。「日通」の通称で知られ、「日通で運べない物はない」、「日通で貨物を運べない国や地域はない」と言われるほど、充実したロジスティックスを確立している運送会社です。
運送会社の中で唯一、陸運・海運・空運と、全ての輸送モードをカバーするなど、輸送力は、同業他社と比較しても、随一で、当然、業績のトップクラスです。
そのなかでも、法人向けの貨物輸送・物流業務を得意としており、国際航空貨物取扱において、日本で2位の近鉄エクスプレスを、大きく引き離しているほか、個人宅の引越しや事業所の移転を担う輸送業務においても、業界トップのシェアと売上高を誇っています。
・・・であるにもかかわらず、日本通運は、輸送業だけの会社だけではなく、「日通旅行」のブランドでの旅行代理店業、航空会社の総代理店としての空港の地上業務請負業、名古屋や福岡、京都における地下鉄駅の管理・運営業など、様々な事業を、幅広く展開しています。
好調な業績を維持している一流企業ですが、人材確保に苦戦しているのは、同業他社と変わらず、日本通運からは、常時、様々な求人が出ています。転職のチャンスは豊富に存在するので、関心があるのであれば、真剣に検討することを、オススメします。
このページでは、日本通運株式会社の中途採用求人の傾向、及び、社員の年収、就労環境についてまとめていますので、参考にしてください。
日本通運の中途採用求人の傾向
日本通運からは、様々な職種において、中途採用の求人が出ていますが、募集頻度が高い代表例としては、国際物流営業、SE(情報システム)、重機建設管理監督者、重量物輸送監督者などが挙げられます。
応募要件としては、いずれも年齢・学歴は問われませんが、社会人としての3年以上の実務経験と、専門職の場合には、該当業務に関する実務経験が必須となります。
また、運転手・セールスドライバー、警備輸送スタッフ、事務職などの募集も、活発に行われており、こちらは高卒以上(事務職以外は要自動車普通免許)であれば、応募可となっています。
これら以外では、マーケティング、経営企画、事業管理、経理財務、人事、法務等、管理部門関連で求人が出てくることがありますが、募集頻度としては、少なめです。(募集がかかった場合には、実務経験が必須となります。)
求人情報の入手方法
日本通運では、中途採用希望者向けの専用ページを公式サイト内に用意しており、こちらのページにおいて、募集が行われている求人の一覧・詳細について、確認することが出来ます。
https://www.nittsu.co.jp/jinji/career/
ただ、公式サイトは、求人情報が、常に最新の状態になっているとは限らないので、その点は、要注意です。
日本通運は、中途採用に関しては、転職エージェント経由でも、募集をかけており、こちらのほうが、情報の鮮度が高いので、日本通運の求人情報を確認する際には、転職エージェントに問い合わせるほうが、より確実です。
このページの最後に、日本通運の中途採用求人を扱っている転職エージェントをリストアップしておきますので、参考にしてください。
日本通運の社員の年収・給与制度について
日本通運に勤務する社員の年収例を、職種別に挙げると、下記の通りとなります。
- 営業 25歳 年収360万円
- 営業 29歳 年収450万円
- 営業 主任 33歳 年収500万円
- 営業 係長 35歳 年収700万円
- 経理 24歳 年収400万円
- 経理 30歳 年収450万円
- 法務 25歳 年収450万円
- 人事 26歳 年収400万円
- 航空事業部(物流) 27歳 年収400万円
- 航空事業部(物流) 主任 32歳 年収600万円
- 航空事業部(物流) 係長 36歳 年収650万円
- 航空事業部(物流) 係長 36歳 年収700万円
- 海運事業部(物流) 25歳 年収350万円
- 海運事業部(物流) 主任 31歳 年収650万円
- 施工管理 主任 30歳 年収500万円
- 施行管理 主任 33歳 年収650万円
- ドライバー 28歳 年収480万円
- ドライバー 30歳 年収600万円
- ドライバー 35歳 年収600万円
職種や配属先によっても、数字が変わってきますが、おおよその目安としては、係長クラスで年収 600~800万円、課長クラスで年収 700~800万円、次長クラスで年収 800~900万円、部長クラスで年収 1000万円以上となります。
昇給は年1回、3000円程度、賞与は年2回、トータルでは月給の3ヶ月分程度が支給されます。(在籍する支店の業績によって、多少の変動があります。個人の成績は、関係なしです。)
給与の内訳は、「基本給+家族手当+地域手当+賞与」となりますが、このなかで、案外、重要なのが、地域手当です。
地域ごとに、支給額が決まっていますが、地域差が大きく、たとえば東京だと、北海道よりも5万円程度高くなりますし、同じ東京でも、23区内と区外では、差があるので、どこで働くかによって、手取り額が違ってきます。
また、日通では、全国社員(転勤の可能性あり)・地域社員(地域限定での転勤の可能性あり)・支店社員(転勤なし)の3つのなかから、就業形態を選ぶことになりますが、転勤出来る余地が広い人ほど、給料が高くなる傾向があります。
そのため、転勤しても構わないということであれば、全国社員を選んだほうが、収入が上がるので、オススメです。(ちなみに、日通の場合、異動の機会が少ないので、全国社員として入社したけど、最初に配属されたところから変わらないという人も多いです。)
なお、運送業は、他の業種と比べると、ベースになる基本給が低いうえ、インセンティブもないので、若手のうちは、残業で稼ぐということをしないと、収入は低くなりがちですが、これは、日本通運でも一緒なので、ここは不利な要素と言えます。
ただし、日通の場合、個人単位で、ノルマが課せられることがなく、たとえ目標未達になっても、給与や賞与がカットされるようなことはないので、そこは恵まれていると言えます。(これは、営業のような成果主義の傾向が強い職種であっても、同様です。)
なお、福利厚生については、ごく一般的なレベルで、家族手当として、配偶者に対し1万2600円、子供1人に対して、5000円を受け取ることができますが、それ以外には、特別なものはなく、あまり充実したものとは言えません。
中途採用で入社する時の注意点
中途採用の場合、給与額は、これまでの職歴・実績を加味して算出されますが、この金額は交渉次第で変わってくるので、会社側からの提示額に納得がいかない時には、簡単に妥協したりせずに、しっかりと自分の希望条件を伝えて、話し合うようにしてください。
入社時に設定された給与額は、その後の賞与、昇給にも大きな影響を与えるため、中途半端に妥協するのは、絶対にNGです。
もし、こういった交渉が苦手ということであれば、無理に自分で話を進めずに、前述した転職エージェントに代行してもらうことをオススメします。彼らは、転職のプロなので、こういった交渉ごとに慣れており、会社側と上手に話を進めてくれます。
自分が希望する条件を、そのまま100%通すというのは、さすがに難しいのですが、何らかの上積みを得られるぐらいのことは、多々あるので、交渉ベタな人が自分で何とかしようとするよりも、最初から任せてしまったほうが、賢明です。
日本通運の評価制度について
日本通運では、MBO評価制度を導入しており、半期に一度、各個人に設定された目標の達成度合いをチェックしています。
同時に、社員のほうで、自己評価を行ったうえで、その内容を書面にまとめて提出、その内容も加味しながら、上司が最終的な評価が下すという仕組みとなっています。
ただ、日本通運は昔ながらの日本企業そのもので、いまだに年功序列の傾向が強く、個人のパフォーマンスが、昇給・昇進に大きく影響することはありません。(先ほども触れたように、在籍している支店の業績のほうが、影響度は高いです。)
逆に言えば、社員全員が、昇進を確約されており、長く務めさえすれば、よほどのことがない限り、ほとんどの人が、課長になることが出来ます。
課長から上となると、さすがに本人の能力が問われることになりますが、その一方で、配属先の上司の力や、業績の良い支店に配属されることのほうが、影響度が高いことに変わりがなく、社内での立ち回りがうまい人のほうが、出世しています。
そのため、実力勝負の世界を好む人にとっては、つまらないと感じてしまう可能性が高いです。
日本通運における成長環境について
日本通運は、社員教育に非常に熱心で、多くの時間と資金をかけています。新入社員向けには、新人社員研修をはじめ、半年後のフォローアップ研修、2年目・3年目の研修までと、系統だった教育を行います。
その後は、職種・ポジションに応じて、研修を受けることになり、これは、役職に就いた後でも、変わりありません。(役職者向けの研修が、別途用意されています。)
研修は頻繁に行われており、会社からしっかりと育ててもらえる環境となので、自己成長を望む人には、オススメです。
また、成長環境という観点で見た場合における、日本通運のもう一つの魅力に、海外勤務ということがあります。
日通には、若いうちに、海外研修員として1~2年間、海外へ赴任する制度があり、海外法人の数が非常に多いこともあって、希望すれば、かなりの確率で、赴任させてもらえます。
本格的に駐在員になれるのは、30代後半からなので、そこまで待つ必要はありますが、海外で働いてみたいという人にとっては、いい会社だと思います。
(日通の場合、日系企業が少ない国にも、拠点を設けているので、他社では、まず機会がないような国へ、赴任出来るチャンスもあります。)
ワークライフバランスについて
日本通運の就労環境は、部署により大きく異なります。管理部門や専門的な部署であれば、残業はあるものの、週2回程度は定時に退社出来ますし、休日出勤の機会も、殆どありません。
一方、それ以外の部署だと、残業が常態化しているうえ、休暇も取りにくく、年間で平均5日程度しか、有休をとれないといったケースもあります。
会社としては、残業時間の削減を目指して、現状45時間以上の超過勤務を禁止していますが、しかし、業務量は特に変わっていないため、結局は朝早くから会社に来て仕事を始めたり、休日に出勤して働いたりすることで、埋め合わせるといった状況となっています。
また、日本通運では、労使間協定によって、年間10日間の休日返上が行われており、その分、休みが少なくなっています。(その時間は、サービス残業や休日出勤に充てられています。)
こういった状況なので、ワークライフバランスを重視する人は、日本通運への転職については、慎重に考えるようにしてください。(プライベートの時間を、仕事に奪われることになります。)
女性の働きやすさについて
日本通運は運送業という業界的な体質もあって、基本的には男性主導の企業ですが、時代の要請もあり、日本通運でも、女性社員の活用を推進するようになってきています。
たとえば、女性の管理職比率の目標値を決め、積極的に登用しており、実際、ここ数年で、女性初の支店長が生まれましたし、部長職に就く女性も増えました。
まだまだ、これは入り口に立ったところであり、今後、この傾向がますます加速することは、間違いないので、キャリア志向が強い女性にとっては、有力な転職先候補になってきそうです。
一方、育児支援体制については、こちらも、遅れている面が多々ありますが、産休・育休、時短勤務といった制度は整備されています。
こういったことが、功を奏して、以前は結婚と同時に退職する人が多かったのですが、職場復帰する女性が、少しずつ増えています。
ただし、時短勤務で復帰した場合には、その後、昇進していくのが難しくなるという傾向があるので、この点は要注意です。
日本通運の転職先としての価値
日本通運は業界最大手だけあって、待遇面は、同業他社と比較しても上ですが、これは、あくまでも業界内の話であり、同じぐらいの企業規模の会社と比較すれば、他業種のほうが、条件が良いというのが、実情です。
また、これも、業界全体の傾向と言えますが、仕事の量が多いので、残業が常態化していますし、休みも少ないので、就労環境についても、微妙な部分があります。
その一方で、真面目に働いていれば、必ず昇進して、給与も上がる、雇用が安定していて、リストラの心配がない、海外勤務のチャンスが多いなど、長所もある会社なので、あとは、これらの長所と短所を比較して・・・ということになります。
ここは、その人の考え方次第となるので、自分が転職先となる会社に何を求めるのか、自分自身の価値観と照らしあわせながら、転職の判断を下すようにしてください。
日本通運の中途採用求人を扱っている転職エージェント
なお、下記に、日本通運の中途採用求人を扱っている、代表的な転職エージェントをリストアップしておきますが、彼らは社内事情に精通しているので、このあたりの判断に迷うことがあれば、相談してみるのもアリです。
プロの視点で、客観的にアドバイスしてくれるので、参考になるはずです。
また、転職エージェントは、様々な企業の求人情報を保有しているので、他社の求人について、話をしてみるのもオススメです。日本通運以上に、魅力を感じる会社を紹介してもらえる可能性が十分にあるので、興味がある人は、ぜひ聞いてみてください。
(運送業以外の業種の会社についても、紹介してもらえます。)
※JACに関する補足
- JACは海外移住、海外転職を支援するサービスではありません。海外勤務、海外駐在などの求人を紹介してもらえます。
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