獣医師の資格を活かして、製薬会社へ転職することを考える場合、研究開発職を頭に思い浮かべる人が多いと思います。実際、獣医師の免許を持つ人材を募集する製薬会社からの求人で、最も多いのは、この職種となりますが、実は、それ以外にも、求人が出る職種があります。
それは、営業とメディカルライターです。前者に関しては、動物病院や獣医師会に対するセールスを行うといったもので、人間で言えば、MRに相当するような役割を担うことになります。獣医学に関する専門知識が必須ということで、獣医師が歓迎されています。
後者に関しては、製品情報概要をまとめた資料・パンフレットの原稿、及び、WEBコンテンツ・プレゼン資料など、営業・販促用の資材を作成するといったものとなります。(その過程で、国内外の学会や獣医師に対して、取材を行うこともあります。)
こちらも、獣医学に関する専門知識がなければ、業務を遂行するのは難しいということで、獣医師の免許を持つ人が募集されています。
研究開発職と比較すると、給与は低めとなりますが、それでも、本人の実績・実力次第では、600~800万円の年収レンジになることもあります。(マネージャークラスになると、確実に1000万円を超えます。)
決して悪くない条件なので、興味がある人は、ぜひ研究開発の求人とあわせて、確認してみてください。
なお、求人を探す時には、転職会社や求人サイトを利用することになりますが、獣医師を募集する製薬会社の求人となると、転職市場のなかでも特殊なものとなるので、扱っている媒体は限られます。(大手の転職会社・求人サイトでも、カバーしていないところが多いです。)
そういった状況のなかにおいて、特に保有求人数が多い転職会社を、下記に5社リストアップしておきましたので、求人を探す時には、ぜひ活用してください。(この5社ぐらいしか、常時、求人を扱っている媒体はなかったので、ここを押さえておけば、まず大丈夫です。)
アンサーズ
医療業界専門の人材紹介会社。製薬会社からの人材募集案件を多数保有しています。毒性研究、安全性管理といった業務内容の案件で、獣医師の免許を持つ人材が募集されている案件を扱っています。
前者に関しては、日本獣医病理学専門家協会(JCVP)の認定資格を持つことが、応募条件に含まれるケースが多くなっています。
また、海外の文献を検索したり、資料を作成したりするうえで、英語が必要になるということで、読み書きが出来る程度の英語スキルを有することを、応募条件に含ませる製薬会社が多くなっているので、語学力も重要です。
大手メーカーからの求人ばかりなので、住宅手当・家族手当など、福利厚生が充実している案件が多く、かつ600~800万円程度の年収が見込めるので、条件面としては、なかなか悪くない状況となっています。
ビズリーチ
年収1000万円レベルのハイクラス求人専門の転職会社ですが、獣医師を募集する製薬会社からの求人案件の取り扱い数が非常に多く、常時、50件以上の案件を確保しています。このページでリストアップしている転職会社のなかでも、ダントツで多いので、最も有効な情報媒体と言えます。
ヒト疾患組織とモデル動物の病態評価(肉眼解剖所見採取、並びに病理組織評価)、毒性病理評価といった業務を担当する病理評価担当者を募集する求人が中心となります。
また、臨床開発部門において、安全性情報管理・有害事象の特定・シグナル検出を専門的に担当するといった内容の求人、冒頭でも触れた、動物病院に対するセールスを担当する営業スタッフの募集案件なども出ています。
いずれも、獣医師免許を保有していることが、応募条件となりますが、実務経験については不問とする求人が多いので、製薬業界未経験者でも、仕事に就けるチャンスが十分にあります。
(もちろん、経験者が歓迎されており、未経験者と比較して、100~200万円の年収アップが期待出来ます。)
なお、ビズリーチは、マネージャークラスの案件の取り扱い数も多く、実務経験があれば、マネジメント経験は不問としている製薬会社が多いので、管理職へのキャリアアップを狙っている人が、仕事を探す時にも、オススメの転職会社です。
ちなみに、マネージャークラスになると、英語スキルが応募条件に含まれることが多く、TOEIC700以上のスキルを有していると、チャンスが広がります。
ハイクラス案件については、クライス&カンパニーというヘッドハンティング会社も、非常に取り扱い数が非常に多くなっています。
特に、20代後半から30代のキャリアアップ支援、40代エグゼクティブの転職支援を得意としているので、該当する人は、こちらもチェックしてみてください。
クライス&カンパニー
リクルートエージェント
10万件以上の求人案件を保有する国内最大手の転職会社。内資・外資を問わず、製薬会社からの人材募集案件を多数取り扱っています。獣医師を募集する求人となると、数は少なくなりますが、病理評価担当者を募集する求人を、常時扱っています。
中外製薬、武田薬品工業、第一三共、塩野義製薬、小野薬品工業、田辺三菱製薬、沢井製薬など、大手医薬品メーカーからの求人が中心となるので、日系メーカーへの転職を希望する人は要チェックです。
ミドルの転職
30代後半、40代の中堅層のビジネスマンの転職支援に特化している転職会社。医薬品の情報資材・パンフレット、販促物の原稿を作成するメディカルライターを募集する製薬会社からの求人案件で、獣医師の資格を持つ人材が歓迎されている案件を扱っています。
メディカルライティング未経験者でも応募可なので、興味がある人は要チェックです。(製薬会社の就労経験がない人でも、問題なしです。)
なお、給与は年俸制で、具体的な給与額については、経験・スキル、及び、前職の給与を考慮したうえで算定されることになりますが、未経験者で500~600万円、経験者で、上限が800万円というのが、おおよその目安となります。
A・ヒューマン
高度な専門知識・スキルを持つプロフェッショナル人材の転職支援に特化している人材紹介会社。メディカル業界における転職支援を強化しており、製薬会社からの人材募集案件を、多数保有しています。
ミドルの転職同様、メディカルライターの募集案件で、獣医学部出身者が歓迎されている案件を扱っていますが、A・ヒューマンが扱っている求人の場合、原稿の作成だけでなく、販促企画や一般消費者向けのPR企画の立案業務も担当することになるといった内容の案件が多くなっています。
職種的には、マーケティングや広報といった役割を担うことになります。広告代理店やコンサルティング会社と協働して、企画を進めることになるので、獣医学に関する専門知識だけでなく、コミュニケーションスキルや交渉力なども、問われることになります。
一般的なメディカルライティングを超えた仕事となりますが、将来のキャリアにつながるような、貴重な経験が出来る機会なので、メディカル業界でキャリアを追求していくことを考えている人には、オススメの案件です。