退職金に関して、外資企業の制度は日系企業と大きく違います。その違いを知っておかないと、将来のキャリアプラン、人生プランが狂うことにもなりかねません。
このページでは、外資系企業への転職を考えている人が知っておくべき退職金事情についてまとめています。
1:日系大企業と比較すると退職金の額は少ない
よく言われることですが、外資企業の退職金の額は日系企業よりも少なくなります。その分、外資企業の給与水準は日系企業よりも高めになります。
逆にいえば、退職金分も給与に反映されているから、外資企業の給与水準は高いと考えることも出来ます。そのため、将来を見据えている人は、必ず給与の一部を貯蓄や投資に回しています。(リスク資産への投資ではなく、安全性の高い資産への投資です。)
2:ヨーロッパ系と米系でも違う
同じ外資でも、米系とヨーロッパ系では退職金制度の考え方が違ってきます。企業によっても違いますが、おおまかな傾向としてはヨーロッパ系企業のほうが、考え方が日本よりで、退職金の額も多くなります。
管理人の妻はフランス資本の外資企業で働いていますが、定年まで務めあげた場合、退職金は日系大手企業と比較しても、引けを取らない額になるそうです。
3:そもそも退職まで一つの会社で働くことを考えている人が少ない
ただし、妻の会社で働いている人で、退職金の金額を重視している人は殆どいないということです。それは、定年まで働けるケースが殆どないからです。
40代、50代と年齢が上がるに連れて、リストラの可能性が高くなるのが外資の特徴であり、本当に定年まで残ることが出来るのは一握りです。必ずどこかで転職を考えざるを得なくなるため、退職金のことを考えても仕方がないという発想になるそうです。
4:早期退職金の額はそこそこ
外資企業は首切りが盛んで、特に年齢が高くなると、その傾向が強くなりますが、そのかわりリストラにあった時の早期退職金はそれなりの金額になります。
これはリストラにあった社員から訴訟を起こされないようにするためと言われています。『これぐらいもらえるのであれば仕方がない』と思わせるぐらいの額はもらえるということです。
5:知名度の低い会社に転職していく
それでリストラにあった人がどうするかというと、より知名度の低い外資企業に転職するのが一般的です。
外資といってもピンキリです。これは日系企業と一緒ですが、誰もが知っている超一流企業もあれば、社員数が10人未満の零細企業もあります。
当然、知名度の高い企業ほど良い人材が集まるので、零細企業ほど人材獲得には苦労します。そのため、大きな企業でリストラに遭った人を採用することになります。
外資は、それまでどこの企業で働いていたのかという職歴を重視します。そして日系よりは外資で働いていた人のほうを評価する傾向にあるので、大きな会社でリストラに遭った人にとっては最適な転職先となります。
こうやって、だんだん知名度の低い小さな会社へ転職を繰り返していくというのが、外資企業で働く人のキャリアパスとなります。
会社側から辞めてほしいと言われれば、退職金を上積みしてもらえるので、それまでは、その会社で働く。肩たたきにあったら、その後、小さな会社へ転職する。
こんな感じです。定年まで出世を続けられるような人は例外的で、外資で働く人の大半は、こういったやむを得ない転職が一般的なので、退職金に関してはあまり考えないということになります。
ただし、知名度の低い会社だからといって、給与が悪いわけではありません。逆に知名度が低いからこそ、給与水準を高くしないと良い人材が集まらないということで、高めの給与を提示する傾向があります。
ですから、リストラされて転職したといっても、収入が大きく下がるといったことはあまりないようです。
こういったことを考えると、若いときにどんな会社で働いていたのかというのが、その後の転職先を左右するので、20代、30代前半のうちに知名度の高い大企業に入ることが重要ということになります。