日本4大監査法人の一つである、有限責任あずさ監査法人。Big4のKPMGグループの一因として、日本各地(23都市)にオフィスを構え、約3500社の監査証明業務を担っています。また、最近では、非監査業務の案件数が増加傾向にあり、今現在、クライアントは1500社を超えています。
他の3法人と比較しても、あずさ監査法人は、利益水準が安定しており、かつ、優れた営業力を持ち、近年では、東芝の問題で、新日本監査法人から流出したクライアントを、多数獲得するなど、順調に業績を伸ばしています。
今現在、最も勢いがある監査法人と言えますが、その反面、大手のなかでは、1人当たりの人件費が最も安い監査法人でもあり、実際、給与設定は渋めなので、転職を考える際には、そのあたりをどう考えるのかというのが重要です。
このページでは、あずさ監査法人の中途採用求人の傾向、及び、社員の給与水準、職場の労働環境についてまとめていますので、参考にしてください。
あずさ監査法人の中途採用求人の傾向
あずさは、人材採用を積極的に行っており、中途に関しても、会計監査、会計・経営コンサルタント、データサイエンティスト、IT監査・ITアドバイザリー、アクチュアリー、IPO・上場支援といった職種を中心に、常に人材を募集しています。
また、営業、経営企画、経理財務、人事、法務といった職種においても、求人が出てくることがありますが、募集頻度としては、かなり低いので、チャンスは少なめです。
応募条件に関しては、会計監査に関しては、公認会計士の有資格者、公認会計士論文式試験全科目合格者であれば、応募可能となっており、前職までの職歴については不問とされています。
会計監査以外の職種においては、前職までの経歴・経験の内容・経験年数などが細かく指定されており、また、求人によっては、ビジネスレベルの英語力が要求されるケースもあります。
求人情報の入手方法
KMPGグループの公式サイト内に設置された、採用情報ページのなかに、あずさ監査法人の募集要項が記載されています。現在、募集がかかっている求人の一覧についても、確認出来るので、詳細については、こちらをチェックするようにしてください。
https://home.kpmg.com/jp/ja/home/careers/memberfirm/azsa/year-round-recruitment/experienced.html
また、中途に関しては、民間の転職エージェント経由でも、あずさは人材募集をかけており、エージェントも求人情報を押さえているので、そちらに問い合わせることでも、確認が可能です。
どちらが良いということはありませんが、エージェントの場合、様々な企業の求人情報を押さえているので、たとえば、あずさの求人を、別の監査法人や一般事業会社の求人と比較してみたいといった時には、エージェントに連絡を取って、求人をまとめて紹介してもらうほうが、便利です。
このページの最後に、代表的な転職エージェントをリストアップしておきますので、参考にしてください。
あずさ監査法人の給与水準・年収
あずさ監査法人に勤務する社員の年収事例を数例挙げると、下記の通りとなります。(冒頭でも触れましたが、4大監査法人のなかでは、低めです。)
- 監査シニアスタッフ 27歳 年収750~800万円
- 監査シニアスタッフ 30歳 年収900~1000万円
- IT監査 35歳 年収750~800万円
- シニア 29歳 年収820万円
- シニア 30歳 年収800~900万円
- スタッフ 25歳 年収550万円
- スタッフ 30歳 年収900万円
- マネージャー 31歳 年収1100万円弱
- マネージャー 33歳 年収1000万円
- 金融 28歳 年収750万円
- 金融シニア 28歳 年収1000万円
- 東京事務所シニア 31歳 年収840万円
- 東京事務所シニア 33歳 年収700~800万円
- 国際 27歳 年収700万円
- 国際 30歳 年収800万円
- 専門職員 新卒3年目 年収550万円
- 専門職 27歳 年収600万円以上
- 専門職シニア 新卒5年目 年収700~800万円
- アドバイザリーシニア 30歳 年収800~900万円
- リスクアドバイザリー 40代後半 年収1200万円
これらを統括して、年収の目安をまとめると、おおよそ、こんな感じです。
- スタッフ:年収500~700万円
- シニア:年収700~1000万円
- マネージャー:年収900~1100万円
- シニアマネージャー:年収1100~1200万円
- アソシエイトパートナー:年収1400万~
- パートナー:年収2000万円~
給与制度の特徴としては、シニアまでは非管理職なので、残業代が支給されています。そのため、残業が多いシニアだと、マネージャーよりも給与が高額になるケースが多々あります。
ただし、残業時間については、自己申告制となっており、所属するチームによって、申告のしやすさが異なります。最近では、労基署対策として、80時間を超える請求は難しくなっています。
また、残業が多いと、仕事が出来ない人間と思われ、昇進に響くので、出世を目指す人だと、敢えて少なめに申告するという人もいます。
賞与は、年2回支給となっており、冬は固定、夏は会社の業績・個人の評価を加味したものとなっています。基本給4ヶ月分というのをベースにして、このところは、会社の業績評価でプラス1ヶ月、そこに個人の評価が上乗せされるといった感じです。
住宅手当、扶養手当といったものは一切なく、福利厚生については、期待出来ないと考えてください。年6万円相当のカフェテリアポイント、及び、東京近郊に住んでいるスタッフに対して、月額1万円前後の首都圏手当が支給されるぐらいです。
あずさ監査法人の評価制度
人事評価については、公平さが期待出来ないというのが、現状です。元々、チームで業務が完結するため、多数の社員を平等に評価する基準を打ち立てるのが難しく、結局は上司の判断に任されることになります。
その流れで、力のあるパートナー、マネージャーの意見が採用されることになり、上司との関係性というのが、人事評価に直結しています。
また、昇進に関しては、年功序列を採用する事業部もあれば、実力主義を取っている事業部もあるなど、事業部ごとに昇格に対する考え方が異なっています。
そのため、転職する際に、評価制度を重視する人は、あずさ監査法人がどうというよりも、自分が所属する事業部の基準がどうなのかということを、気にしたほうがいいです。(事前に把握しておくことをオススメします。)
教育環境・成長環境・キャリア開発の機会について
あずさ監査法人では、ビジネスマナーやメンタルなど、ビジネススキルに関する様々な研修が行われています。また、海外留学、英語学習に対する取り組みにも力を入れており、こういった機会を利用することで、様々なスキルを身につけることが出来ます。
ただし、仕事が忙しいため、研修に時間を割くことは出来ないという人も多く、利用する人・しない人がはっきり分かれています。
また、あずさ監査法人は、自分から手を挙げる人間には、様々な業務を担当させているので、たとえば、監査業務とアドバイザリー業務を同時並行的に従事出来るといったことが可能です。
様々な業務を経験して、幅を広げることも出来れば、一つの業務を深掘りしていくことも出来ます。このあたりは本人の意志が尊重されているので、自分の目指すキャリアパスを追求しやすい環境と言えます。
ちなみに、将来的に、再転職を考えている人の場合、ある程度の年齢になって、監査業務の経験しかないというのは、転職市場においては、評価が低くなるので、監査業務以外のことにも携わっておくのが重要です。
ワークライフバランスについて
あずさ監査法人の労働環境というのは、所属部署、チームによって大きく異なりますが、お盆の時期には、全員が5日の休暇を取れる、年末年始にもまとまった休みが取れるなど、監査法人のなかでは、良い状況にあると言えます。
なお、閑散期に休みが取りやすいのは、ほかの監査法人と一緒ですが、あずさの場合、優秀な人ほど、アサインが増えるので、ワークライフバランスを維持出来なくなる傾向があります。
ちなみに、あずさは、人手不足という一面があるため、人材確保の観点から、従業員のワークライフバランスに対する意識が強く、働き方改革などの環境整備を通じて、改善する動きを見せていますが、新規クライアントが増加しているため、あまり変わらないというのが、実情です。
そのため、あずさ監査法人の労働環境がどうなるのかというのは、読めない要素が大きいので、ワークライフバランスを重視する人は、転職する前に、最新の状況について、確認するようにしてください。
女性の働きやすさについて
あずさ監査法人は、女性からすると、働きやすい職場と言えるでしょう。男性と同じように、バリバリ働いて、昇給・昇進を目指すことも出来れば、『仕事はそれなりに』という働き方をすることも出来ます。
(深夜残業はしない、出張はしないといった要望を伝えれば、通る職場なので、プライベートを重視する人でも、やりやすいと思います。)
専門職なので、男性も女性もない、実力主義の世界であり、キャリア志向が強い女性にとっては、やりがいある環境であることは間違いありませんが、男性同様のハードワークが求められることになるので、そこは要注意です。
深夜残業、徹夜も当たり前なので、一定の年代になると、体力的に厳しくなり、路線変更をするという人も多いです。
なお、あずさ監査法人には、産休・育休、時短勤務といった子育て支援制度が揃っているので、子供がいる人でも働き続けることが出来ます。
ただし、クライアント企業の決算期には、残業が避けられないので、フロントで続けるのは難しく、育休から復帰した後は、仕事量が少ないバックオフィス的な業務に移る人が多いです。
あずさ監査法人の転職先としての価値
日本の4大監査法人ですから、あずさの待遇面は、他の大手法人より低いといっても、業界全体のなかで言えば、かなり恵まれていますし、ハードワークではありつつも、休みを取れる時期もあるので、労働環境も、それほど悪くありません。
待遇面と労働環境を比較すれば、まずまずバランスが取れていますし、自分を成長させられる機会が豊富な職場でもあるので、転職先としての魅力は非常に高い事務所と言えます。
あとは、ほかの監査法人との比較で、どうかということです。また、仮にワークライフバランスを重視するのであれば、監査法人ではなく、敢えて、民間企業を選択するという考え方もあるので、このあたりも、比較して、どうなのかという問題になってきます。
そのため、様々な求人と見比べたうえで、あずさ監査法人への転職を目指すのかどうか、決断を下すのがベストです。
あずさ監査法人の中途採用求人に強い転職エージェント
下記に、あずさ監査法人の中途採用求人を扱っている転職エージェントをリストアップしていますのが、大手を含めた監査法人はもちろんのこと、コンサルティング会社・一般事業会社の求人についても、多数保有しているので、ぜひ、色々な求人を紹介してもらってください。
具体的な企業名を挙げず、転職先に希望する条件を伝えて、それらの条件を満たす求人を探してもらうといったことも出来ます。転職先を決める時には、エージェントは何かと頼りになる存在なので、うまく活用してください。
※JACに関する補足
- JACは海外移住、海外転職を支援するサービスではありません。海外勤務、海外駐在などの求人を紹介してもらえます。
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