世界中に拠点を持ち、コンピュータや周辺機器、ソフトウェアなどを製造販売している、世界有数のコンピューターメーカー、ヒューレット・パッカード。外資系企業らしく、自由気質の社風を持ち、責任さえ果たせば有給消化は自由、フレキシブルに働くことができます。
社内の風通しも良く、上層部に意見が通りやすいという良さもあります。その反面、アメリカ本社の組織変更や方針変更に振り回されることが多いという、外資系企業ならではの弊害もあり、このあたりは一長一短があるといった状況です。
グローバル化の加速により、英語が出来ないと業務が進められない環境になりつつあるため、中途採用で転職を目指す時には、実務に関する経験・スキルに加えて、語学力を身につけていることが必須条件と考えたほうがいいです。
中途採用で求められる職種
日本ヒューレット・パッカードにおいて、中途採用で募集がかかる職種としては、下記のようなものがあります。どの職種においても、英語力はほぼ必須となっています。
システムエンジニア
ネットワーク製品や基盤システムなど様々な領域において、募集がかかっています。対象製品の環境設計から構築運用まで、様々な工程を担当することになるため、幅広いスキル・経験を有している人材が求められています。また、同じ開発環境における実務経験を持っていることも必須条件となってきます。
営業
顧客に製品を販売する営業は、中途採用の求人のなかでも、最も募集数が多い職種です。営業スキル・経験はもちろんのこと、製品に関する知識、IT系の知識も必須となります。ポジションによっては、IT業界における営業経験者のみが応募可能といった求人も存在します。
扱う製品は部署ごとに異なるので、これまでの職歴を加味して、自分の経験を活用出来る部署を適切に選んで応募することが重要です。
サポートエンジニア
顧客からの製品に関する問い合わせ対応、及び修理対応を担当することになります。印刷機やサーバーなど、対応する製品は部署により異なります。中途採用の場合、応募者には対応するハードウェアに関する知識を有していることが求められることになります。機械工学などを専攻していた経歴があれば、優遇されるケースが多いです。
顧客対応が主業務となるため、コミュニケーションスキルに対する要求度が高くなっています。また、製品マニュアルは英語となるため、最低限、英文マニュアルを読解出来るだけの語学力も必須となります。
ヒューレット・パッカードの年収パターン
ヒューレット・パッカードの年収事例は以下の通りです。部門ごとに違ってくるので、それぞれ標準的な例をまとめています。
システムエンジニア部門
- 新卒4年目 27歳:年収550万円~600万円
- 新卒13年目 35歳 プロジェクトマネージャー:年収680万円~720万円
システムエンジニアは営業職とは異なり、インセンティブの割合が少なく、勤務実績に応じて、地道に昇給していくことになります。それほど大きな昇給は望めませんが、安定した年収を得られるポジションです。
注意点としては、システムエンジニアにありがちなことですが、基本給は低く、ほとんどが残業代で稼いでいます。部署によっては、残業代が出ないケースもあるので、転職する時には事前に確認しておくことをオススメします。
個人の業務実績に応じたボーナスが支給されていますが、近年では経営環境が厳しいこともあり、それほど大きな金額にはならないようです。
セールス(営業)部門
- 新卒2年目 24歳:年収400万円~500万円
- 20代~30代前半:年収500万円~800万円
- 40代以上:年収1000万円~
セールス部門ではインセンティブの割合が非常に高くなっています。基本給は年収にして400万円前後、あとは目標達成度次第となります。目標を100%達成すると、入社2年目でも年収700~800万円になります。
順調に昇格していけば、入社後数年内に年収1000万円を突破することも十分に可能です。新卒・中途の区別もないので、自分の実力で年収を伸ばしていくことが出来る環境と言えます。
賞与は、固定賞与が半年ごとに0.3カ月分、プラス営業実績に応じたインセンティブが支払われています。ただし、年度が終わった時点で目標金額の60%を切ると、支給されていた一年分の金額を返金しなければならないなど、ノルマも厳しくなっています。
サポート部門
- 中途3年目 29歳:年収450万円~500万円
- 新卒27年目 47歳 スペシャリスト:年収1000万円
他部門と同じように、基本給は低いです。しかし、夏と冬に賞与が6カ月分出るため、年収を押し上げています。サポート部門は夜間勤務が多くなる部署ですが、夜間手当や残業代はきちんと支給されています。
ヒューレット・パッカードの人事評価制度
人事評価に関しては、上司の判断が大きな影響を持ち、客観的に判断される体制が整っていないため、外資系企業とはいっても、実力成果主義とは言えない状況となっています。昇給制度は会社の業績により頻繁に変わり、状況が悪ければ数年間昇給がない場合もあります。
中途採用者の場合、転職時の年収が、その後の基準となりますが、数字については交渉次第で上がるケースも少なくないので、エージェントと相談しながら、少しでも上積みすることを目指してください。
福利厚生・女性の働きやすさ
有給休暇は年20日程支給され、有給とは別に年6日の特別休暇もあります。5年、10年など節目の年には、リフレッシュ休暇も提供されています。しかし、外資系企業の典型で、その他の福利厚生については、殆ど存在しません。住宅補助などもありません。
オフィスはフリーアドレスで好きな席で仕事をすることが出来ます。労働組合が組織されていますが、あまり組合としては機能していないようです。オフィス内にはコンビニや食堂が揃っており、オフィス環境は良好です。
産休・育休・時間短縮勤務などの制度は一通り整えられており、取得に対する理解も進んでいます。在宅勤務という選択もあり、子育てをしながら働いている女性も多いです。全体的にみて、女性が働きやすい職場と言えますが、女性の管理職はまだまだ少ないので、キャリアアップという視点から見ると、魅力が低い企業と言わざるを得ないのが正直なところです。
ヒューレット・パッカードを退職する理由
リストラが頻繁に行われており、定年まで働き続けることはかなり難しくなっています。目標が達成されないと即リストラとなるケースが多いため、特にセールス部門の場合、社内はピリピリしていて、あまり良くなく、こういった雰囲気を嫌って、転職する人は少なくないようです。
また、リストラに引っかからなかったとしても、長い間昇給が凍結されることもあり、そこで見切りをつけて退職するという人もいます。また、役職については年功序列で、若い人が実力で昇格出来る余地が少ないため、自分の力を正しく評価してくれる職場を探して転職する人も多いです。
40代を超えてこの会社に生き残っている人は少ないのが現状なので、転職を考える時には、このことを頭に入れておいたほうがいいです。
ヒューレット・パッカードの転職先としてアリ?
おおむね、こういった状況となりますが、ヒューレット・パッカードは良い面もあれば悪い面もあり、転職先としての評価は難しい部分があります。人によって評価が大きく分かれる会社とも言えます。
そのため、業務内容や社内の雰囲気、人事体制など、自分にとってこだわりが強い要素があれば、転職エージェントに伝えて、自分が希望する条件を満たせるのかどうか、確認することをオススメします。
外資系企業に強いエージェントに相談すれば、ほかに条件を満たす、より好条件の会社が存在するかどうかといったことも含めて、ヒューレット・パッカードとの相性を判断してもらえます。下記にリストアップしているビズリーチ、リクルートエージェント、doda、マイナビITであれば、相談先として適切です。
また、JACリクルートメント、マイケルペイジ、ヘイズインターナショナルも外資に強いので、こういったエージェントに一度話を聞いてみるのもアリです。
※JACに関する補足
- JACは海外移住、海外転職を支援するサービスではありません。海外勤務、海外駐在などの求人を紹介してもらえます。
- 年収600万円~2,000万円の方にオススメのサービスです。
※補足
リクルートエージェントは、元々、英語が得意な人の転職支援に力を入れていましたが、最近では、入社後、勉強して身につけることを条件に、今現在の英語力については不問とする採用方針を採る企業からの求人についても、取り扱うようになっています。
そのなかには、海外出張や海外勤務の機会が想定される求人も含まれるので、興味がある人は、リクルートに相談してみてください。
なお、20代・30代の人には、マイナビエージェントという転職会社もオススメです。リクルートとは、また違った系統の求人を確保しているので、両者をダブルで利用すると、多角的に情報を集められるので、よりチャンスが広がります。
特に、第二新卒者の場合、好条件の求人を紹介してもらえる可能性が大です。一方、30代後半以降の経験豊富な人の場合、マイナビはそれほど良い求人を扱っているわけではないので、それほど期待は出来ないです。(他社のほうがオススメです。)