新日本有限責任監査法人の中途採用事情

新日本有限責任監査法人の中途採用事情

 

Big4の一つである、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのメンバーファームとして、日本最大の規模を誇る、新日本有限責任監査法人ですが、近年は、オリンパスや東芝の粉飾決算事件などで、かつての名門のイメージが崩れています。

 

新日本監査法人から、別の監査法人へ切り替える上場企業も出てきており、それと同時に、会計士の流出が始まっています。

 

しかしながら、それでも、クライアント数、人員数、売上高の全てにおいて、日本No.1の監査法人であることは変わりがありません。

 

昔から、会計関連の書籍で、良書と呼ばれるものは、新日本監査法人が出していましたが、今も、そこは変わらないですし、Webで会計処理に関する情報を検索した時にも、必ず出てくるのが、新日本監査法人のサイトです。

 

その内容は分かりやすく、今でも、経理畑の人間にとっては、一番の情報源となっているなど、信頼性の高さが垣間見える部分もあります。

 

業績に関しても、監査売上は微増止まりですが、アドバイザリー事業など、非監査売上が大幅に増加しており、毎年、着実に売上高・営業利益を伸ばしています。

 

転職先として見た場合には、早期退職による人員削減を推し進めた反動で、全体的に人員が不足しており、様々な職種において、人材を募集しています。転職を図るには良いタイミングなので、ぜひ、真剣に検討してみてください。

 

このページでは、新日本有限責任監査法人から発生している中途採用求人の傾向、及び、年収・給与水準、就労環境についてまとめていますので、参考にしてください。

 

新日本有限責任監査法人の中途採用求人の傾向

最も求人数が多いのは、もちろん監査スタッフとなりますが、先ほども触れたように、アドバイザリーサービスが好調のため、財務会計、人事、リスク管理といった分野において、アドバイザリー業務を担当出来るコンサルタントの募集案件が増加傾向にあります。

 

あとは、これらのスタッフをサポートするアシスタント(事務職)の募集案件、及び、管理部門関連(経営企画、経理財務、人事)の求人が常時、発生しているといった状況です。また、社内SEを募集する求人も、チラホラ出ています。

 

いずれの職種に関しても、該当業務に関する実務経験が必須となり、監査・アドバイザリーに関しては、国内外の公認会計士の資格を保有していること、英語がビジネスレベル以上であることも必須条件とされています。

 

基本的に、要求水準は高いのですが、人材不足の傾向があるため、大目に見てもらえるケースも少なくないので、経験・知識面で不安がある人も、ぜひチャレンジしてみてください。

 

求人情報の入手方法

新日本有限責任監査法人は、公式サイト内において、採用情報ページを開設しており、中途に関しては、『通年採用ページ』から、募集要項と、現在、募集がかかっている求人の一覧について、確認出来るようになっています。
https://www.shinnihon.or.jp/careers/experienced/

 

また、中途に関しては、転職会社経由でも、募集がかけられているので、監査法人や会計事務所の求人に強い転職会社にコンタクトすれば、新日本監査法人の求人を教えてもらえます。

 

どちらでも、入手出来る情報には変わりがありませんが、転職会社の場合、様々な企業の求人案件をカバーしているので、別の監査法人の求人と比較してみたいという時には、まとめて確認出来るので、便利です。

 

(コンサルティング会社や民間の事業会社の求人と比較するといったことも、もちろん可能です。)

 

また、自分が希望する業務内容での求人がなかった時には、求職者登録(会員登録)をしておくことで、新規求人が発生した時に、その都度、メールで通知してもらうといったことも出来ます。

 

求人情報を入手するための情報源として、転職会社は何かと便利な存在です。このページの最後に、代表的な転職会社をリストアップしておきますので、うまく活用してください。

 

新日本有限責任監査法人の年収・給与水準

新日本有限責任監査法人の給与水準ですが、目安としては、下記の通りとなります。かなり幅が広いのですが、これは、基本給の個人差が大きいためです。

 

新日本有限責任監査法人の社員年収

  • スタッフ:年収400~800万円
  • シニア:年収500~900万円
  • マネージャー:年収700~1100万円
  • シニアマネージャー:年収800~1300万円

 

上のポジションに昇格するには、一定の年数(おおむね4年)が必要となりますが、給与については、実績ベースということもあるため、ポジションと給与が連動せず、一般スタッフでも、シニアやマネージャーよりも給与が上というような、ねじれが起きています。

 

ちなみに、ここで言う実績というのは、前職までの経歴・職歴ということになります。入社後も、毎年1回、昇給の機会がありますが、基本的には年功序列で、全員一律となるので、ここで個人差が生じることは殆どありません。

 

なお、残業代については、スタッフ・シニアまでは全額支給となるので、残業がどれぐらいあるのかというのが、年収に大きく影響してきます。(マネージャー以上になると、残業代がゼロとなるので、マネージャー昇格1年目だと、かえって給与が減るというケースも生じています。)

 

なお、新日本有限責任監査法人の基本給は、他の監査法人と比較しても高めですが、福利厚生がゼロに等しいため、トータルで考えると、特段に良いというわけではないので、その点は、注意してください。

 

評価制度、昇給・昇進について

新日本監査法人では、自分が関与しているチーム内の評価をもとに、複数の上司、及びメンター、カウンセラーと面談を行い、多方向から評価を受けるという人事制度が導入されています。

 

欧米で採用されている制度が、そのまま日本でも運用されているのですが、かなり複雑なこともあり、うまく活用されているとは言えず、最終的には、直属の上司の意向が強く反映されたものとなっています。

 

チームによって、評価基準が変わるということもあり、形骸化しているという一面もあります。

 

人事評価に不満がある時には、異義申し立てが出来る制度もありますが、人事を含めて、何度も面談を重ねたあげく、上司との関係性を悪くするだけに終わったというケースが多く、うまく機能していません。

 

また、残業が多い人が評価を受けやすく、勤務時間内に効率良く、業務を終わらせることが出来るような人の評価が低くなりがちなので、仕事に対するモチベーションが低下することにもつながっています。

 

なお、新日本監査法人は上が詰まっているので、高評価を得たとしても、マネージャー以上のポジションに昇格するのは、簡単ではありません。(一度、マネージャーに昇格した人が、降格するというケースは、少ないです。)

 

中途採用で入社する時の注意点

先ほども触れたように、中途で新日本監査法人に入る時には、前職までの実績に応じて、基本給が決まることになりますが、交渉次第で金額が大きく変わってくるので、提示額に納得がいかない時には、とことん話し合うようにしてください。

 

新日本監査法人では、昇進しない限り、大幅な昇給が期待出来ないですし、その昇進に関しても、上が詰まっているため、そう簡単ではないということで、転職時というのが、給与アップを図れる最大のタイミングとなります。

 

ここで妥協してしまうと、後々まで後悔することになるので、要注意です。もし、給与交渉のようなものは苦手ということであれば、前述した転職会社に代行を依頼してください。彼らは転職のプロなので、うまく話を進めてくれます。

 

実際、数字の上積みに成功するケースが多いですし、自分が前面に出ることがないので、人間関係がギクシャクするようなこともありません。苦手な人が無理に進めるよりも、よほどスムーズにまとまるので、最初から任せてしまったほうが賢明です。

 

新日本有限責任監査法人の教育制度・成長環境について

業務に関する専門知識、及び、汎用的なビジネススキルを磨くためのweb研修制度が充実しており、こういった教育プログラムを利用して、自己研鑽を図ることが可能です。また、外部研修に対する補助金制度もあり、会社負担で受講することが出来ます。

 

平日は仕事が忙しく、勉強する時間を取るのは、まず無理なので、土日に自主的に受講するぐらいの意欲がないと、こういった環境を活用することは出来ないと思いますが、学習意欲が高い人にとっては、望ましい体制と言えます。

 

ただし、成長環境ということでいえば、新日本監査法人は、若いうちから多様な経験を出来るというのが、最も大きなメリットと言えます。人手不足ということもあり、新卒・中途を問わず、入社後、早い段階で、監査業務・保証業務・アドバイザリー業務を一通り経験することが出来ます。

 

また、現場責任者というポジションについても、1年目・2年目から担当出来るケースが多いです。年次を重ねると、複数の会社にアサインされることになり、複数の仕事を同時進行でこなすことが必須となるので、業務を効率良く処理するスキルも自然に磨かれることになります。

 

一般的な事業会社と違い、手取り足取り教えてくれるといったことはなく、自分が主体となって動く必要はありますが、仕事から得られる経験値というのは、非常に高く、学ぶ材料には、事欠かない環境と言えます。

 

ワークライフバランスについて

新日本有限責任監査法人は、以前は、残業が少ないうえ、定期的に長期休暇が取れるなど、ワークライフバランスが良好な職場でしたが、ここ最近は、人手不足の影響で、1人当たりの仕事量が多くなり、長時間労働になりがちです。

 

(監査品質の水準に対する要求度が高くなっており、その要求水準を満たすために、業務量が増えているという背景もあります。)

 

シニアレベルまでは、それでも、繁忙期が終わった時期に、1~2週間の連続休暇を取るといったことは出来るので、普段は忙しくても、定期的にオフを取ることで、リフレッシュする機会を得ることが可能ですが、マネージャー以上になると、その機会すら無くなります。

 

ただし、これは新日本監査法人だけでの話ではなく、どこの監査法人でも同じような状況なので、業界的な傾向と捉えておいたほうがいいです。

 

女性の働きやすさについて

新日本監査法人では、女性男性を問わず、平等に業務が割り当てられており、女性だからといって、アサインされないといったような不公平感は一切ありません。評価に対しても、男女平等です。

 

ただし、担当業務によっては、女性でも、深夜や土日にも働くことになりますし、労働時間・業務量=評価なので、高い評価を受けようと思えば、長時間労働が避けられなくなります。

 

育児支援体制に関しては、新日本有限責任監査法人は充実しています。産前産後休暇・育児休暇は取りやすいですし、チーム制で働くこともあり、復帰後も必ずポジションが与えられます。

 

特に会計士の場合、人手不足なので、時短勤務、週休3日制、出張なしなど、かなり要望を聞き入れてもらえるので、育児に支障を来すことなく、働くことが出来ます。しかしながら、この場合、人事評価は下がることになるので、キャリアは諦めるという割り切りは必要です。

 

新日本有限責任監査法人の転職先としての価値

日本トップの監査法人ですが、早期退職による人員削減のしわ寄せがいまだに解消されておらず、職場環境としては、かなり過酷なものとなっています。

 

もちろん、業界的に仕事が忙しい世界なので、どこでも一緒という一面もありますが、そのなかでも、新日本監査法人は厳しい部類に入ると考えたほうがいいです。

 

給与を含めた待遇面は、他の大手監査法人と同等レベルなので、そう考えると、転職先として見た場合、文句なしでオススメと断言出来るほどではないというのは、正直なところです。

 

もちろん、十分に魅力的な事務所なのですが、ほかの監査法人の求人と比較したうえで、最終判断を下しても遅くはありません。興味があるようでしたら、コンサルティング会社の求人と見比べてみるのもいいと思います。

 

いずれにしても、焦らずにじっくり考えたうえで、結論を下すのがいいでしょう。下記に、監査法人からの求人案件の取り扱いに力を入れている転職会社をリストアップしていますので、ぜひ、色々な求人を紹介してもらってください。

 

コンサルティング会社はもちろんのこと、税理士法人、一般事業会社からの求人に関しても、会計士の資格が活きるような案件を扱っているので、そういった求人を紹介してもらうのもアリです。

 

※JACに関する補足

  • JACは海外移住、海外転職を支援するサービスではありません。海外勤務、海外駐在などの求人を紹介してもらえます。
  • 年収600万円~2,000万円の方にオススメのサービスです。