富士通グループのシンクタンクとして、『コンサルティング』、『経済研究』、『研究開発』の3分野において、事業を展開している富士通総研。コンサルティングに関しては、経営戦略、業務改革、新規事業創出、リスク管理の4領域に強みを持つ会社です。
民間企業だけでなく、公的機関、政府機関もクライアントに持ち、研究員には、元大学教授や高級官僚、日本銀行総裁・理事など、蒼々たるメンバーを揃えている優良企業です。
社員数は300名強と決して大きな組織ではないため、求人の募集頻度は少なくなりますが、非常にやり甲斐がある職場であり、転職を目指すだけの価値は十分にあるので、興味がある人は、こまめに求人情報をチェックして、転職のチャンスを模索することをオススメします。
このページでは、富士通総研の中途採用求人の傾向、及び、社員の年収・給与水準、就労環境などについてまとめていますので、参考にしてください。
富士通総研の中途採用求人の傾向
中途採用に関しては、コンサルタントや研究員を募集する求人が中心となり、この2職種以外では、管理部門系統(経理財務、人事、法務、経営企画、総務)の求人が発生することがあるといった状況です。
中途に関しては、即戦力となる有能な人材を採ることに特化しているので、該当業務に関する実務経験・見識を豊富に有することが、絶対的な応募条件となってきます。
(コンサルタント、研究員については、必ずしも、同一業務の経験者である必要はなく、その領域におけるプロフェッショナルとみなされるだけの専門知識を持っていれば、採用される可能性は、十分にあります。)
求人情報の入手方法
中途採用に関しては、民間の転職会社経由での募集となります。会社の公式サイト内には、採用情報ページが開設されていますが、こちらでは、『転職会社を利用してください』とのメッセージが掲載されるに、とどまっています。
このページの最後に、富士通総研の中途採用求人の取り扱い実績がある転職会社をリストアップしておきますので、参考にしてください。
なお、転職会社は、様々な企業の求人案件を保有しているので、他社の求人を紹介してもらうのもアリです。富士通総研は、求人の発生頻度が少ないだけに、この会社だけにこだわっていると、時間だけが過ぎてしまうだけで、終わってしまう危険性があります。
最初から諦める必要はありませんが、同時に、この会社以外にも、有望な企業がないかどうか、探っていくのも重要です。転職先に希望する条件を転職会社に伝えれば、それらの条件を満たす求人を紹介してもらえるので、興味がある人は、他社のことについても、話をしてみてください。
富士通総研の社員年収について
富士通総研に勤務する社員の年収水準ですが、具体的な年収例を挙げると、下記の通りになります。
- コンサルタント 30歳 年収550万円
- コンサルタント 26歳 年収500万円
- コンサルタント 35歳 年収700万円
- シニアコンサルタント 30歳 年収700万円
- シニアコンサルタント 32歳 年収800万円
- シニアコンサルタント 33歳 年収650万円
- コンサルタント マネージャー 37歳 年収1000万円
- 一般事務 26歳 年収400万円
- データアナリスト 34歳 年収700万円
親会社である、富士通に準ずる給与形態となるため、ほかのコンサルティング会社と比較すると、年収は低めです。(特に、若手層の給与水準は低くなっており、他社の同一ポジションのビジネスマンと比較して、数百万単位で年収が低いというケースもあるようです。)
給与体系としては、基本給に、年2回の賞与が支給され、年に1回、昇給があるといったものとなります。
おおよそ、30歳前後でシニアコンサルタントに昇格して、そこで大きな問題がない限り、その翌年から、SPIRITと呼ばれる裁量労働制に移行するようになっています。
ここからは、成果主義の色が強くなり、たとえば、年収一つをとっても、評価によっては、同僚との間に、100~200万円程度の開きが出てきます。特に、賞与の支給額において、差が生じることが多く、上位一桁台に入るような、優秀な社員だと、30代でも、常時、3桁以上は確実です。
なお、賞与は業績連動給となり、富士通グループ全体の業績の影響を受けますが、メーカー系列であることから、変動幅はそこまで大きくなく、安定しています。(評価が変わらなければ、毎年、同額の賞与が期待出来ます。)
残業については、裁量労働制に移行した後には、1ヶ月あたり40時間分の残業手当が一律で付くようになります。
ちなみに、ここでの残業の定義は、『22時以降及び休日出勤』となり、平日22時までの残業は、残業時間としてカウントされません。
また、仮に、この定義での残業時間が、40時間を超えたとしても、そこに相応する残業代は、賞与から天引きという形で支払われるため、収入総額は変わらない仕組みになっているので、注意してください。(つまり、残業手当のみが支払われるということになります。)
福利厚生については、家賃補助制度、社員寮、社員持株制度、財形貯蓄制度、各種保養施設の利用制度など、富士通グループの系列会社だけあって、非常に充実したものとなっています。
評価制度について
富士通総研の人事評価制度は、富士通と同様の基準となり、業績評価に、日頃の仕事に対する取り組み、組織に対する貢献度といったプロセス評価が加味される形で、総合的に評価されるようになっています。
なお、通常、コンサルタントや研究員だと、『各プロジェクトにおける実績評価』が人事評価の土台となり、その積み上げが最終査定に直結するものですが、富士通総研の場合、各プロジェクトにおけるパフォーマンス評価は行われていません。
ちなみに、人事評価に対するスタンスは、完全実力主義で、実績・能力に応じて、ハッキリ差を付ける部署もあれば、敢えて、個人差を大きくせず、一定範囲内におさめるようにしている部署もあるなど、所属部署によって、大きく異なります。
これは、その時の事業部の状況や、部門長の考え方によるものが大きく、同一部署でも、時期によって評価体系が変わってくるので、詳細については、個々に確認することをオススメします。
なお、全社的な特徴としては、評価者の主観に頼る要素が強く、数字で判断するのがベーシックである、プロフェッショナルファームとは大きく異なります。
ただし、これを、逆側から見れば、外資のようにきつい成果主義の会社ではないので、その分、成果に対するプレッシャーは弱くなり、人によっては働きやすいと感じることもあるでしょう。(年功序列というわけではないので、努力すれば、昇進出来る会社でもあります。)
※補足)
新卒・中途を問わず、入社1−2年目の社員を対象に、全役員・事業部長の前で、仕事に対する、自分の考えをプレゼンする場が設けられています。
自分の実績をアピールする場、自分の考えに対するフィードバックをもらう場でもあるので、上の人間とのコミュニケーションを図る良い機会となっているようです。
成長環境について
富士通総研は、新卒者を対象としたグループ合同研修を用意しており、入社してから半年ほどは、営業スキルやプログラミングなど、業務に必要とする知識・スキルの習得を図ることが出来ます。
基礎的なものとなるので、中途採用者に関しては、不必要と言えるような内容ですが、本人のバックグラウンドなどを加味して、受講する意義があると判断された時には、受けることもあるようです。(ただし、通常は対象外となるはずです。)
なお、富士通総研は、シンクタンク・コンサルティングファームとしては、仕事の役割分担において、かなりシステマティックな基準を設けています。
たとえば、コンサルタントの場合、コンサルティング経験を3年目積んだ後、案件受注のための営業・プレゼンを、アシスタント的な立場で行うようになる。
そして、その経験を3年積んでから、営業責任者に昇格するといったものです。都合、6年目から一本立ちするといったイメージですが、ここまで、基準を明確しているのは、実力主義のコンサルティング業界としては、珍しいです。
こういった基準があるため、無理なく、自分のスキルをアップさせていける反面、実力がある人にとっては、自分の能力に見合うだけの仕事が与えられないということにも、つながりかねないので、一長一短がある体制と言えます。
ただし、同業他社のコンサルタントと比較すると、富士通総研出身者は、プレゼンスキル、営業能力が高いと言われており、実際、そこを武器に、Big4に転職する人も多いので、ここが富士通総研の強みと考えておけばいいかと思います。
キャリア開発に関しては、富士通総研は事業部制を取っているため、あくまでも、事業部の方針に沿った範囲内のなかでの話となります。
また、先ほども触れたように、大きな裁量を与えられて、仕事が出来るようになるまでには、数年を要することになり、それまでは、上司の指示・介入が多いことから、最初のうちは、自分で考えて出来る仕事の範囲というのは、狭いものになると捉えておいたほうがいいです。
そのなかで、上司に恵まれた人というのは、多くのことを吸収して、飛躍的に成長していっている会社でもあるので、自己成長ということを重視する人は、転職後に、自分が配属されることが想定される部署の状況について、事前に確認しておくことをオススメします。
ワークライフバランスについて
富士通総研におけるワークライフバランスというのは、担当するプロジェクト次第というのが、正直なところですが、繁忙期でなければ、残業時間は法定基準内におさまります。労務管理がしっかりしている会社でもあるので、同業他社に比べると、就労環境は良好と考えて間違いなしです。
有給休暇の取得率に関しても、コンサルティング会社としては、かなり良い部類に入ります。富士通本社の指導が入っていることもあり、休みをしっかり取るという意識が、経営幹部のなかに根付いています。
また、それが下にも伝わり、全社的に、ワークライフバランスを大切に考える風土が出来ているため、お互いが休みを取れるように、同僚同士で配慮する雰囲気があります。
その結果として、実際に、休みが確保出来ているので、ワークライフバランスを重視するという人にとっては、富士通総研はオススメの会社です。
(少なくても、シンクタンク・コンサルティングファームとしては、これ以上を望むは難しいと言えるような環境です。)
女性の働きやすさについて
富士通総研は、仕事の内容で男女差が生じることはなく、対等に働くことが出来ますし、人事評価に関しても、女性だからといって不利な立場に置かれることはありません。昇進・昇給のチャンスについても、男性と同等なので、ここはフェアな環境と言えます。
また、育児支援体制についても、しっかりしており、育休・産休は自由に取得出来ますし、復帰後の勤務形態、勤務内容についても、コミュニケーションを丁寧に行いながら進めているなど、フォローが手厚い環境です。
注意点としては、コンサルタントの場合、復帰後、子育てと仕事を両立させるのは難しい面が多く、経済研究のリサーチ補助や管理部門など、仕事量が少ない部署に異動することで、対応するケースが多いです。
ただし、そういった状況のなかでも、コンサルタントとして、第一線で働いている女性もいます。家族の協力を受けたり、様々な犠牲を払ったりということがあるようですが、一概に無理というわけではないということは、頭に入れておいてください。
富士通総研の転職先としての価値
富士通総研の特徴を挙げるとすれば、シンクタンク・コンサルティングファームとしては、珍しいぐらい、就労環境が良好であるということです。
激務が当たり前のコンサルティング業界においては、かなり特異な存在といえる会社なので、この業界に興味があるけど、でも、年中、仕事に追われるのは嫌だという人にとっては、有力な転職先候補と言えるでしょう。教育体制や仕事に対するフォローがしっかりしているのも、魅力の一つと言えます。
その反面、年収や昇進のペースについては、他社ほど、個人差が付くことはなく、横並び感もある会社なので、自分の実力で勝負していきたいという人にとっては、物足りない部分があるかもしれません。
ただし、これは、あくまでもコンサルティング会社としての話であり、別業種の会社から見れば、十分に実力主義の世界なので、このあたりは、自分がどういった環境を望むのか、その人の価値観次第ということにもなります。
そのため、自分自身の価値観と照らしあわせながら、富士通総研への転職を目指すのかどうか、考えるようにしてください。
また、そもそもの話として、富士通総研は、中途採用の求人が出てくる頻度が少ないので、求人情報を入手するのが先決です。下記に、富士通総研の中途採用求人の取り扱い実績がある転職会社をリストアップしていますので、詳細については、直接、問い合わせてみてください。
なお、前述しましたが、転職会社は、様々な企業の求人案件を扱っているので、他社の求人について、紹介してもらうのもアリです。
転職先を探す際、選択肢が多いことに越したことはないですし、いつ、富士通総研への転職のチャンスが出てくるか分からないので、他社を視野に入れて、転職活動を進めたほうが賢明です。
富士通総研以上に、魅力を感じる会社が出てくる可能性も、十分にあるので、色々と話をしてみてください。
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転職を目指す会社が決まった場合、年収などの条件交渉を代行してもらうことも出来ます。年収アップに成功するケースが少なくないので、ぜひこういったサポートも受けてみてください。
※JACに関する補足
- JACは海外移住、海外転職を支援するサービスではありません。海外勤務、海外駐在などの求人を紹介してもらえます。
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