国内医薬品メーカー大手5社の1つである第一三共。ここ数年は、売上高国内業界3位の位置にとどまっていましたが、抗凝固薬・リクシアナ、抗インフルエンザウイルス薬・イナビル、抗血小板薬・エフィエントなど、複数の主力製品が急成長。
その結果として、2016年度の売上高で初めて、業界1位の座につきました。2017年度にはパテントクリフの影響で、一時的な減収減益が見込まれていますが、成長が見込まれる市場におけるシェア獲得を、今後も積極的に行っていく方針を打ち出しているなど、活発な動きを見せています。
特に、ガン領域や、ファースト・イン・クラスの創薬への注力が顕著です。こういった背景から、研究開発部門を中心に、人材採用を積極的に行っており、中途採用の求人についても、多数発生しています。
このページでは、第一三共株式会社の中途採用求人の傾向、及び社員の年収、就労環境についてまとめていますので、参考にしてください。
第一三共株式会社における中途採用の求人傾向
第一三共では、中途での人材登用に力を入れており、創薬研究、統計解析、開発システムIT担当、データマネジメント、ファーマコビジランス、薬事、固形剤処方製法研究、注射剤処方製法研究等、様々な職種において、募集がかかっています。
また、これらの業務を統括するマネージャー候補を募集する求人も出ています。また、研究開発関連以外の職種においても、求人の発生頻度は少し落ちますが、MR、経理財務、人事、経営企画、法務といった職種を中心に、募集がかかっています。
余談ですが、第一三共のMRは、質の高い学術情報を提供するということで、医師からの評価は非常に高いです。(最も、面談したいMRとも言われています。)
いずれの職種においても、該当業務に関する実務経験が必須となり、研究開発関連の求人については、案件ごとに、学歴・職歴(経験内容・年数)が、細かく指定されているので、自分がその条件を満たしているかどうか、個々に確認するようにしてください。
また、第一三共の場合、全職種共通で、海外業務に対応するために、ビジネスレベルの英語力が要求されるケースが多くなっています。語学力不問の求人もありますが、数としては限られているので、語学が出来ないと、転職のチャンスは、かなり狭まると考えてください。
求人情報の入手方法
第一三共は、公式サイト内に、キャリア採用情報ページを開設しており、新規求人が発生した時には、そちらのページに募集要項が記載されることになるので、こちらをこまめにチェックすることで、中途採用の求人情報を入手することが出来ます。
https://job.axol.jp/16/c/daiichisankyo/entry/shokushu?page=1
また、中途採用に関しては、転職会社経由でも募集をかけており、特に、研究開発部門以外の職種に関しては、公式サイト内では告知をせず、転職会社を通して、求人を開示するケースが多いので、公式サイトとあわせて、転職会社にも問い合わせることをオススメします。
このページの最後に、代表的な転職会社をリストアップしておきますので、参考にしてください。ちなみに、転職会社は様々な企業の求人情報を扱っているので、第一三共の求人と、別の製薬会社の求人を比較してみたいといった時にも、便利です。
第一三共株式会社の年収・給与制度について
第一三共株式会社に勤務する社員の年収ですが、幾つか具体的な事例を挙げると、以下のようになります。職種別に羅列しておきますが、給与・賞与ともに、業界トップレベルです。
- MR 27歳 年収500万円
- MR 29歳 年収900万円
- MR 31歳 年収700万円
- MR 35歳 年収1000万円
- MR 42歳 年収1000万円
- MR主任 32歳 年収950万円
- MR管理職 40代 年収1000万円以上
- 専門研究員 27歳 年収650万円
- 専門研究員 27歳 年収600万円
- 主任研究員 47歳 年収1200万円
- 開発 41歳 年収1250万円
- 開発 グループ長 45歳 年収1300万円
- 開発 グループ長 48歳 年収1300万円
- 開発 グループ長 55歳 年収1500万円
- 経理財務 40代 年収1000万円
- 事務課長代理 37歳 年収900万円
- 製品企画 43歳 年収1200万円
給与水準は高く、基本給には安定性があります。賞与は年2回の支給となります。会社の業績に連動する形式となるので、年ごとの変動はありますが、毎年、年収の3~4割に相当する額が支給されているので、かなりの好条件です。
基本給は、等級に応じて算出されることになりますが、一般社員の差額は殆どなく、どの職種でも30代で700万円以上の年収が確保出来ます。(昇給は毎年あり、一定の増額が見込めます。)
これが、管理職以上になると、実力主義の色が強くなり、同年代・同一ポジションの社員間でも、給与差が生じるようになります。
福利厚生については、各種保険・年金に加えて、社宅制度、財産形成支援制度、住宅手当、扶養手当、子ども手当、出張・外勤手当など、業界の中でも、抜群に高い充実度となっており、社員からも好評です。
人事評価・昇給制度について
第一三共では、MBO評価制度とコンピテンシー評価制度が導入されており、半期に一度、上司との面談を行ったうえで、査定が下されるようになっています。
部内での相対評価にて査定されますが、年功序列が基本となっているうえ、近年課長職が増えすぎた影響で、高評価がつけ難い状況となっています。(高評価を与えると、昇進させなければいけなくなりますが、ポジションに空きがないためです。)
そのため、高い評価を得て、昇格を勝ち取るような社員は、極めて少なくなっているのが、実情です。(ただし、主任・係長までは、ほぼ全員確実に昇格出来ます。)
また、評価が特別良くなければ大きな昇給も見込めないので、結局は定期昇給のみとなり、人事評価が年収に与える影響が少ないです。
ただし、評価基準自体は明確となっているうえ、普通に仕事をこなしていれば、一定の評価がもらえるため、減給になることはまずありません。僅かながらも、毎年、基本給が上がることとあわせて考えると、第一三共の給与の安定性は抜群です。
なお、こういった環境のなかで、営業職は唯一の例外となり、数字がボーナスに確実に反映されるので、個人間で、年収差が生じています。
成長環境について
第一三共は社員教育に力を入れている会社です。社内外の教育・研修プログラムが豊富に用意されており、メニュー形式で自由に受講することが出来ます。(業界随一の研修所を葉山に保有しています。)
また、TOEICを年1回無料で受講出来る制度や、自己啓発に関する補助金が毎年一定額、会社から支給される制度が用意されているなど、極めて充実した環境となっています。
海外子会社への駐在や、研究者の海外留学など、社員が海外経験を積むチャンスも豊富にあり、第一三共の人材教育に対する力の入れようは、かなりのものとなります。
実務においては、常に新しくチャレンジすることが求められ社風なので、自主的に仕事に取り組む姿勢、業務に必要な知識を自ら習得する姿勢が必要となりますが、意欲的な社員に対するサポートが手厚い会社であり、色々な仕事を経験することが出来ます。
また、海外を含めた他部署との連携や、顧客とのやりとりを通じて、コミュニケーション能力・語学力を向上させることが出来ますし、第一三共は数々のメジャーな医薬品を抱えている会社なので、医薬品に関する専門知識も、幅広く磨かれることになります。
そのため、メディカル業界であれば、どこでも通じるだけの実力を構築することが出来ます。逆にいえば、これだけ成長環境に恵まれているため、こういった機会を利用して、自己研鑽を図る意識がないと、いつの間にか、ほかの社員に大きく差をつけられることになるので、注意が必要です。
ワ―クライフバランスについて
第一三共は、社員のワークライフバランスに対する意識が高い会社であり、組合もしっかり機能しているので、社員が働きやすいように労働環境がしっかり整備されています。有給休暇、長期休暇をともに取得しやすく、海外旅行を楽しんでいる社員も多いです。
出世を目指すうえでは相応の評価を得なければいけないため、自然とハードワークになりがちですが、残業や休出は任意であり、その有無が評価に直結することはないので、自由度が高いことに変わりはありません。
なお、営業職の場合、タイムマネジメント力が高い社員、成績の良い社員は、プライベートの時間をしっかり確保していますが、出張が日常化している営業担当者やセルフマネジメントが上手く行かない社員は平日・休日ともに多忙で、長期休暇以外は休みが取れない状況となっています。
しかし、会社としては、毎月1回、定時に帰るワークライフバランスデーを設けるなど、営業マンのワークライフバランス改善にも積極的に取り組んでおり、他社のMRと比較すれば、恵まれた状況にあると言えます。
女性の働きやすさについて
第一三共は女性にとって働きやすい会社です。性別における業務差はなく、女性でも男性と同じように、責任ある仕事を持って、バリバリ働くことが出来ます。
キャリアアップに関しても、今現在、管理職に就いている女性は、まだまだ少ないのですが、会社側が女性管理職の増加に務めていることから、昇進のチャンスは男性以上に恵まれていると言える状態となっており、キャリア志向が強い女性には、やり甲斐がある環境です。
育児支援体制に関しても、産休・育休、フレックス勤務、短時間勤務といった制度が一通り用意されているうえ、社外の保育園に入れない場合は、社内の保育所が利用可能となっています。仕事と育児が両立しやすいため、産後復帰している女性が多い会社です。
ただし、営業部門の場合、制度が浸透しきれていない面があり、上司や周りの理解が得られないと業務を継続するのは難しく、結婚・出産後に伴い、退職する社員が少なくありません。
(結婚時の同居支援制度がないため、異動の希望が通らず、優秀な女性社員がやむなく退職したという事例も、多々あります。)
しかしながら、会社側としても、この問題を真摯に受け止め、女性MRのライフスタイルの変化に伴うサポート体制を確立出来るように務めており、少しずつですが、結婚・出産後も活躍している女性社員が出てきているので、今後の職場環境改善には、かなり期待できそうです。
第一三共の転職先としての価値
ここまで、第一三共の就労環境について、様々な角度から見てきましたが、給与を含めた条件面がトップクラスであるうえ、教育制度や労働環境も、かなり整備されているので、製薬会社への転職を目指すのであれば、かなりの有力候補と言えます。
欠点を挙げるとすれば、課長職以上のポジションが詰まっており、キャリアアップが難しいということがありますが、課長の手前までは、ほぼ誰でも昇進出来ますし、それにあわせて、給与も上がることになるので、見方によっては、恵まれていると言えます。
第一三共は、ビジネスマンとして実力を磨くには、最適な環境なので、これ以上のキャリアアップが見込めないということになれば、他社へ転職するという選択肢もあります。(第一三共出身者であれば、かなり重宝されるので、転職先には困らないでしょう。)
ちなみに、出世が出来ないからといって、辞める人は少なく、居心地が良いから、ずっと働き続けているという人が多い会社でもあるので、昇進ということも考慮したとしても、転職先としての価値は十分にあると言えます。
もちろん、このあたりは、個人の考え方次第となりますが、少なくとも、一度は真剣に検討しても、損がない会社なので、ぜひ一度、時間を取って、考えてみてください。
第一三共の中途採用求人を扱っている転職会社
最後に、第一三共の中途採用求人を扱っている転職会社をリストアップしておきますが、彼らは様々な企業の求人情報を押さえているので、興味があれば、他社の求人を紹介してもらって、見比べてみるのもオススメです。(そうして、初めて見えてくるものもあります。)
また、転職会社は業界の動向も把握しているので、第一三共が転職先として最適な会社なのかどうか、見極めがつかない時には、相談してみるのもアリです。あなたの実績・職歴と照らし合わせながら、プロの視点で客観的に分析してくれるので、参考になります。
転職先を決める際には、何かと頼りになる存在なので、有効活用してください。
※JACに関する補足
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