未経験者の商社への転職

商社への転職というのは、極めてハードルが高いことです。新卒採用者をじっくり育てていくというのが、商社の基本戦略であり、中途では即戦力の人材しか採用しないためです。

 

野球で言えば、ダルビッシュ、マー君、イチロー、松井といった移籍即エース、主軸打者となるような一流選手をFAで取得するようなイメージです。中途採用者に関しては、育てるという発想はないので、会社に貢献出来る存在と認められるような人材でなければ厳しいです。

 

正直なところ、転職を考えた時、今の会社から『君に辞められたら困る』と真剣に引き留められるぐらいのパフォーマンスを出している人間でないと、商社への転職は厳しいでしょう。

 

『商社で働いてみたいな』ぐらいの気持ちでは、まず無理です。ここまでのことを前提として、具体的に商社への転職に成功するための手段を4つ取り上げてみます。

 

未経験者の商社への転職

 

手段1:専門性を高める

商社への転職に成功するには、向こうから来て欲しいと言われるぐらいの人材になる以外にありません。

 

実際、商社への転職に成功した人というのは、営業マンであれば、広東語と北京語を完璧に話すことが出来て、長年中国企業と取引をしてきたとか、経理であれば、日商簿記1級とUSCPAの資格を取得して、会計事務所で働いてきたといったような、一つの分野で特化したスキルを持っている人だけです。

 

ですから、まずは今の仕事に邁進してスキルを磨くのが最優先です。経理なら経理、法務なら法務、営業なら営業、貿易事務なら貿易事務、何でもいいので、その分野で少なくても同年代の人間に対しては、誰にも負けないぐらいの知識とスキルを身につけることです。

 

商社というのは何でも屋で、必要とされるスキルの幅が広いため、何かしらの分野を深く突き詰めている人であれば、採用される可能性が高くなります。

 

自分の能力を高めるという当たり前の話になってしまうのですが、高いハードルが要求される商社では、一層、重要度が増します。

 

手段2:中堅の専門商社、総合商社の事業子会社を狙う

財閥系の大手総合商社と比較すれば、中堅の専門商社のほうがハードルは低くなります。地方の専門商社だと、熱意とやる気があれば十分と未経験者でも人物本位で採用するところもあります。

 

こういったところで、商社マンとしての経験を積んで実力をつけてから、大手商社へ転職するというのは理屈に合ったキャリアプランになります。

 

同様に、総合商社の事業子会社も狙い目です。入社後、高いパフォーマンスを発揮して、仕事ぶりが評価されれば、親会社からヘッドハンティングされるといったことも十分にあり得ます。

 

手段3:マネジメントスキルを磨く

どの業界でもマネジメントが出来る人材は引く手あまたです。商社でも、この傾向は変わりません。特に、一事業部を任せられるような経営スキルのある人材であれば、好待遇で迎えられることが確実です。

 

そこまでいかなくても、中間管理職として活躍出来る人は高く評価され、採用される確率が高くなります。

 

手段4:紹介予定派遣で働く

貿易事務、経理事務といった職種であれば、商社でも紹介予定派遣の求人が多くあります。派遣社員であれば、採用のハードルもそれほど高くないので、まずは派遣という形で商社で働き始めて、そこで認められることで正社員(無期雇用)として登用されるというのは、現実性の高い堅実な転職方法です。

 

事務系の仕事につきたい女性にお勧めのやりかたです。

 

ダメ元で転職エージェントに相談してみてください!

商社への転職というのは、ハードルが高いのですが、中途採用の求人数は膨大なものになるので、もしかしたら、未経験者でも採用してもらえる案件が見つかるかもしれません。可能性は低いのですが、ゼロではありません。

 

タイミングによっては、商社側が転職希望者に希望する条件に、あなたの経歴・プロフィールがうまくマッチするということもあり得るので、最初から諦める必要はなしです。

 

もし、本気で商社への転職を実現させたいのであれば、商社の求人に強い転職エージェントに相談してみてください。彼らは転職のプロであり、求人事情に精通しているので、うまく転職に成功するための方法を見つけてもらえるかもしれないですし、あなたの実力・経験を買ってくれる商社を紹介してくれるかもしれません。

 

採用の見込みがあれば、商社側にあなたを売り込むといったこともしてくれます。もちろん、今現在のあなたの実力では、転職のチャンスはないという残念な結論になってしまうこともあり得ますが、その時には、では、可能性を広げるには、どうすればいいのか、今後のキャリアプランについてアドバイスを受けることが出来ます。

 

また、現時点でも転職が決まる可能性自体はあるけど、マッチする求人が存在しないということであれば、新規求人が発生した時に、すぐに紹介してもらうことが出来ます。いずれにしても、転職エージェントとの協力体制を築いておいて損することはないので、なるべく早く、求職者登録をしておくことをオススメします。

 

また、その時には、少しでも多くのエージェントに登録しておいたほうがいいです。そのほうが情報源が広がり、その分チャンスも増すからです。最終的には、20以上のエージェントに登録したといった人も珍しくないのですが、最初からここまでするのは大変という人は、最低限、ビズリーチJACリクルートメントリクルートエージェントクライス&カンパニーキャプラン商船三井キャリアサポートには登録しておいてください。いずれも、商社に強いエージェントなので頼りになります。

※JACに関する補足

  • JACは海外移住、海外転職を支援するサービスではありません。海外勤務、海外駐在などの求人を紹介してもらえます。
  • 年収600万円~2,000万円の方にオススメのサービスです。

 


※補足
リクルートエージェントは、元々、英語が得意な人の転職支援に力を入れていましたが、最近では、入社後、勉強して身につけることを条件に、今現在の英語力については不問とする採用方針を採る企業からの求人についても、取り扱うようになっています。

 

そのなかには、海外出張や海外勤務の機会が想定される求人も含まれるので、興味がある人は、リクルートに相談してみてください。

 

なお、20代・30代の人には、マイナビエージェントという転職会社もオススメです。リクルートとは、また違った系統の求人を確保しているので、両者をダブルで利用すると、多角的に情報を集められるので、よりチャンスが広がります。

 

特に、第二新卒者の場合、好条件の求人を紹介してもらえる可能性が大です。一方、30代後半以降の経験豊富な人の場合、マイナビはそれほど良い求人を扱っているわけではないので、それほど期待は出来ないです。(他社のほうがオススメです。)