管理人は、昔、外資系企業で働いていたことがありますが、その時、ビジネス英語について痛感したことが一つあります。それは、本当に仕事で必要な英語というのは、座学では身につかないものであるということです。
私は、いざ働き始めてから、知らない言葉に何度も直面しました。たとえば、毎日のように目にした英語で『First in, first out』という言葉があります。日本語に直すと、『先入れ先出し』となります。日本語で聞いても『?』という人が多いと思います。
これは、部品や原材料を使う時、仕入れ日が古いものから順番に使用しなさいという意味で、工場でよく使われる言葉です。
工場だと、生産計画に合わせて必要な部品や原材料が事前に搬入されます。そのため、工場には在庫があるわけです。実際に部品を使う時には、適当に出すのではなく、日付の古いものから使うというルールがあり、それが『先入れ先出し』、英語では『First in, first out』という言い方になるというわけです。
勉強では学べないことがたくさんある
それで、重要なことは、この言葉が載っている参考書や問題集は存在しないということです。恐らく、辞書にも載っていないのではないでしょうか。
参考書や問題集というのは、広く多くの人のために作られているものなので、内容は誰にでも役立つ一般的なものとなります。
利用出来る人が限られている、工場で使う言葉をまとめたフレーズ集なんてものを作ろうという発想はありません。でも、実際に、現場で働く時に必要な言葉は、こういったものです。
これは、あらゆる分野で言えることです。私はアメリカに留学していた時、翻訳のバイトをしていたことがあります。基本的には、旅行会社のパンフレットや資料を翻訳していたのですが、あるとき、医学系の翻訳を依頼されました。
臨床実験に関する文書の翻訳だったのですが、それまで担当していたスタッフが急病で間に合わないということで、代役として指名されました。でも、結果は散々でした。意味の分からない言葉ばかりで、全然内容を理解出来ません。
日本語で読んでも分からないような内容ですから、英語を理解出来るはずがありません。頑張って訳しましたが、結局ボツになりました・・・
医学翻訳、特許翻訳といった言葉があるように、どの分野でも、そこでしか使わない専門用語、特殊用語があり、それらの言葉を知らないと仕事にはなりません。
逆に言えば、こういった業界用語さえ知っていれば、仕事は出来ます。実際、私が働いていた外資企業でも、片言の英語しか話せない社員はいっぱいいましたが、彼らは問題なく仕事をこなしていました。
ビジネス英語といっても、仕事で使う言葉というのは決まってきます。その決まった言い方を使い回すだけなので、その言葉さえ知っていれば仕事は回ります。
これがビジネス英語の現実です。つまり、本当に仕事が必要な言葉は、仕事を通じてしか学べないということです。
TOEIC600もあれば何とかなる
現実的には、ビジネス英語=仕事で必要な英語というのは、会社に入って、業務をこなしながら覚えていくことになります。
そのため、語学については、一定レベルの基礎力があれば間に合うのが現実です。TOEICで600ぐらいの実力があれば、必要なことはその場で覚えていくといったことは十分に出来るので、それぐらいあれば問題ないというのが管理人の考えです。
ネイティブ相手に交渉するといった業務内容であれば、さすがにTOEIC600では厳しいかもしれませんが、英文経理とか貿易事務といった話す機会があまりなく、メールのやりとりや書類の作成などが主といった業務であれば、これぐらいで十分です。
ですから、あまり英語については気にしないことです。
英語が出来るに越したことはありませんが、必要最低限のことが出来れば問題ありません。そして、その最低限というのは、一般的に考えられているよりも低いレベルです。 英語を使って仕事をしたいという人には、ぜひこの事実は頭に入れておいて頂ければと思います。