米国公認会計士

日本でも『米国公認会計士(USCPA)』の受験が出来るようになり、注目する人が増えてきています。この資格を取れば、転職に有利になると考えている人も多いようですが、残念ながら、それは違います。

 

米国公認会計士

 

日本人には、資格さえ取れば何とかなるという資格信仰があるのですが、これは真実ではありません。現実として、今では医者や弁護士でさえ、職にあぶれている人が出てきている時代です。

 

企業側が見るのは、あくまでも、その人物を採用して戦力になるかどうかということ。そして、そのハードルは年々、上がっています。

 

こういった転職事情を理解していないと、せっかく時間とお金を投資したにもかかわらず、何の役にも立たなかったという結果になってしまいます。

 

その一方、US CPAの資格を取得することで、キャリアアップの可能性が広がる人もいます。そこで、このページでは、US CPAの資格を取得するべきかどうか、その判断となる目安をお伝えします。

 

1:会計業界未経験者の場合、リミットは30歳

 

今まで人事やSEとして働いてきたというような業界未経験者が転職に成功するリミットは30歳と考えてください。出来れば、25~26歳ぐらいまでに動きたいところです。

 

20代であれば、企業側も将来性を見越して未経験者でも採用することが少なくありません。これは外資でも一緒です。外資系企業でも、人を育てるという感覚はあるので、若くて有望な人材であれば積極的に採ってくれます。

 

ただし、これが30歳を超えると、かなり厳しくなります。30を超えると即戦力になることが求められるので、未経験者が採用される可能性はゼロに近くなります。

 

2:米国公認会計士との親和性が強い職種についている人であればOK

 

USCPAは『会計』、『財務』、『金融』の3分野においてニーズが高い資格です。また、『英文経理』や『英語』とも関連性が高いので、これらが絡んだ仕事をしてきている人は、USCPAの資格を取得することが、自分のキャリアアップにつながってきます。

 

<米国公認会計士と親和性が高い職種の例>

  • 経理
  • 監査法人での会計監査
  • 財務、または、会計系コンサルティング
  • 金融機関やコンサルティングファームでのM&Aアドバイザリー
  • 内部監査

 

ただし、これらの職種においても、英語を使わない業務や日本の会計基準に則った経理処理の業務経験しかない人とアメリカの会計基準に沿った業務を経験してきている人では、圧倒的に後者のほうが有利です。

 

USCPAというのは、その名の通り、アメリカの会計士ですから、勤務先も米国会計基準や国際財務報告基準での決算を行っている企業になってきます。

 

これらの企業においては、日本基準の会計業務経験というのは、役立つ経験ではないため、それほど高く評価されません。そこは要注意です。

 

ただし、経理・会計業務経験者ということで、全くの未経験者よりは評価が高くなります。

 

3:希望職種に近い業務の経験がある

 

英文経理の経験はないが、財務分析やマーケティングのコスト分析の仕事をしていたことがある。コンサルティングの経験はないが銀行やコンサルティング会社で提案営業をしていたことがある。

 

こういったふうに、希望職種に近い業務経験をしている人であれば、その経験を評価され採用される可能性があります。

 

たとえば、31歳で実務経験無しのUSCPA保有者と28歳でコンサルティング経験5年の人間を比較した場合、コンサルティングファームの求人において、採用される可能性が高いのは後者です。

 

仮にUSCPAの資格が役立つ仕事であったとしてもです。即戦力にならないという点では両者一緒ですが、実務経験がある人間のほうが育てやすいと評価されるのが一般的です。

 

いかに、これまでの職務経歴が重要かということですね。これは米国公認会計士だけの話ではありませんが、将来こんな仕事に就きたいという目標があるのであれば、若いうちにその職種にも活きるような仕事に就くことです。

 

勝負は20代なので、時間を浪費しないことです。

 

条件を全く満たしていない人はどうすればいい?

 

35歳で会計業界での業務経験なし、今まではずっとSEとして働いてきた

 

こんな人はどうすればいいのでしょうか?

 

結論からいえば、USCPAを取得するのは辞めたほうがいいです。仮に取得出来たとしても、会計業界で採用される可能性はゼロに近いからです。

 

厳しい言い方もしれませんが、これが現実です。

 

転職に成功するには、これまでの経験が活きることを考えるべきです。

 

もちろん、30代で異業種への転身をして成功した人も存在しますが、そういった人達の特徴は元々優秀な努力家で、なぜ転職するのか、なぜこの仕事を選択するのかという信念を強く持っていることです。

 

また、どうすれば、転職先で自分の評価を高めることが出来るかということも考え抜いています。

 

どんな仕事をするのかというキャリアプランが明確にあり、このために、(必要であれば)この資格を取るという発想です。

 

資格があれば・・という考えではないことに注目してください。これが転職に成功する鉄則です。

 

どうしても諦めきれない人は・・・

最後に、ここまで書いてきたことは管理人の率直な意見ではありますが、私自身は転職のプロということではありません。あくまでも一個人としての意見です。

 

ですから、今からでは難しいかもしれないけど、少しでも転職成功の可能性を模索したいという人はプロのアドバイスを受けることをオススメします。ここで言うプロというのは転職エージェントです。

 

彼らは長年、転職市場の動向を見に続けてきており、企業側が転職者に求める条件等についても、常に把握しています。どういった人が転職に成功しやすいのかということを知り尽くしていますし、これは言葉を換えれば、どうすれば転職に成功するのかということも分かるということです。

 

30代、40代の中堅層の転職支援に力を入れているエージェントに相談すれば、適切なアドバイスをしてくれますし、もしかしたら今のあなたでも申し込めるような求人案件を紹介してくれるかもしれません。USCPA絡みということでいえば、JACリクルートメントリクルートエージェントビズリーチジャスネットキャリアMS-Japanあたりは力になってくれると思います。

※JACに関する補足

  • JACは海外移住、海外転職を支援するサービスではありません。海外勤務、海外駐在などの求人を紹介してもらえます。
  • 年収600万円~2,000万円の方にオススメのサービスです。

 

 

リクルートエージェント、JACリクルートメント、ビズリーチは外資系企業や日系グローバル企業の求人に強いエージェント、ジャスネットキャリア、MS-Japanは会計・経理・財務・税務といった分野の求人に強いエージェントなので、いずれもUSCPAの有資格者を高く評価する企業からの求人案件を扱っています。

 

転職エージェントに相談するのは無料で出来ることなので、ダメ元でコンタクトを取ってみることをオススメします。

 

※補足
リクルートエージェントは、元々、英語が得意な人の転職支援に力を入れていましたが、最近では、入社後、勉強して身につけることを条件に、今現在の英語力については不問とする採用方針を採る企業からの求人についても、取り扱うようになっています。

 

そのなかには、海外出張や海外勤務の機会が想定される求人も含まれるので、興味がある人は、リクルートに相談してみてください。

 

なお、20代・30代の人には、マイナビエージェントという転職会社もオススメです。リクルートとは、また違った系統の求人を確保しているので、両者をダブルで利用すると、多角的に情報を集められるので、よりチャンスが広がります。

 

特に、第二新卒者の場合、好条件の求人を紹介してもらえる可能性が大です。一方、30代後半以降の経験豊富な人の場合、マイナビはそれほど良い求人を扱っているわけではないので、それほど期待は出来ないです。(他社のほうがオススメです。)