商社というのは特殊な業態であり、そのため求められる能力も普通の企業とは違ってきます。また、新卒者と中途採用者では、求められる人物像が全く違ってきます。
一言でいえば、新卒には万能型の人材、中途にはスペシャリスト型の人材が求められる傾向にあります。
新卒者に求められる能力
商社の仕事というのは、非常に多岐に渡ります。エネルギー、食料、医療、精密機械など、様々な分野で業務展開しており、事業ごとに部が分かれています。その事業部のなかでも、商品ごとに部が分かれており、独立採算制で経営を行っています。
こういった環境のなかで、社員は、自分が所属する事業部のなかで、様々な仕事を経験することになります。
普通の企業だと、たとえば営業部に配属されたら、そのまま営業部に所属して、営業マンとしての経験を積んでスキルを伸ばすことで、専門性を高めていくというふうに、一つの仕事を深掘りしていって、その分野のプロフェッショナルに育てていくといった育成プランを採ります。
しかし、商社の場合、一定期間ごと(たとえば1年ごと)に部署を異動して、色々な業務をこなせるように育成していくといった育て方をします。何でも出来るジェネラリストを育てようという発想です。
そのため、どんな仕事にも対応出来る柔軟性、色々なことに興味が持てる好奇心といった要素が必要となってきます。
それに加えて、世界中を飛び回ることになるので、精神的/体力的タフさ、語学力といったものも求められる能力に入ってきます。
あとは、商社の仕事をこなすうえでは、異なるバックグランドを持つ外国人と意思疎通を図ることが必須なので、コミュニケーション能力や交渉力、プレゼン能力といったスキルも必要となってきますが、新卒採用者に対して、入社時にここまでの能力を身につけていることを要求することはありません。
入社後、業務を通じて身につけていけばいいと考えられており、そのための社内教育体制も整えられているため、そういった能力の素養さえあれば十分とみなされます。
中途採用に求められるのは高度な専門能力
新卒の場合、ポテンシャル重視での採用となりますが、中途採用の場合は即戦力としての人材が求められます。
特に財務・経理知識、事業企画、経営企画、プロジェクトファイナンスといった経営者的な視点・スキルを持って、事業運営に携わることが出来る人間が求められる傾向が強くなっています。
商社の代表的なイメージである貿易マン、営業マンに関しては、新卒採用の社員を育てるという方向性なので、中途採用ではあまり求められる人材ではありません。(営業部をとりまとめるリーダー職であれば、話は別です。)
こういった事業運営に関わる職種というのは、語学はそれほど重要なスキルではないので、英語を含む外国語が一切出来なくても、専門的なスキル・知識があれば採用されることが珍しくありません。
このように、中途採用では高度な専門スキルを持つプロフェッショナルが求められます。